下肢救済・足病分野の活動要約

1.日本下肢救済・足病学会設立(2009年) 日本の医療の中に足病の病名もなければ足病等について記述した項目もない。欧米では100 年も前から足を専門的に診る足病医が活躍していた。
一般に糖尿病になって10年目頃になると約50%の人に下肢の神経障害が起き、それから約10年位経過すると下肢の血流障害が起きる。これらの患者の下肢を救済し、歩行させて健康長寿を得ることを目的とし下肢救済・足病学会を設立した。
2.足病分野の夜明け(2015年6月) 秋野参議院議員の賛同を得て、足病分野の現状を調べ、把握した。また秋野議員と共に、下肢救済足病学会と足病分野の発展に努力した。その結果、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる“骨太政策”)が閣議決された。
この骨太政策を実現するため厚労省指定研究大浦研究班(2015年12月)が誕生した。
3.透析患者の四肢切断症例数の削減 日本において透析患者は32万人でおり毎年増加している。この中、慢性透析患者の四肢切断数は2014年には8,787人(3.7%)とこれも年々増加している。しかも、この四肢切断の予後は悪く、1 年以内に50%死亡し、残り50%の人も寝たきりになるという報告である。透析医は透析患者の中で、足血流不全患者を早期発見し適切な結構改善医に紹介すれば加算をすることという大浦指定研究班の足病についての提案が、“下肢末梢動脈疾患指導管理加算”をすることが出来るとして保険収載された。この効果は大きい。 4.“足病の教科書と足病の小冊子”の出版(大浦研究班の成果) 現在足病に関する一般向けの本が全くなかったので秋野議員との対談形式でわかりやすく、しかも質の高い一般向けの本を出して足病の啓蒙を行った。更に28年度の厚労省指定研究においても足病重症化予防として、「医療従事者のための足病治療・ケア」の小冊子を発行し保健所や関連部署等に配布し、足病の正しい理解と早期発見・早期治療を広く喚起した。 5.免荷を考慮した足病の外来治療 平成 29 年度の大浦研究班は下肢潰瘍・壊死の治療の際に常に起立、歩行を考え免荷をしながら治療すること、歩行を考え TCC(Total Contac Cast)やオーダーメイドの装具・靴作りを使用し、入院せずに、外来治療で下肢を治療させる治療方法を提案し、医療費の削減を計った。 6.下肢血流測定器の開発 下肢血流を real time で、しかも血流マップとして見ることが出来るレーザースペックル(LSFG)血流計の開発をした。レーザースペックル血流計は、4秒で且つ非接触性で、二次元的で色で血流評価でき、血流マップから得られた相対的数字を使って比較評価できる。 7.腎移植の推進を図る。 日本移植学会と、日本透析医学会の協力のもと、腎移植を進めるため透析患者との腎移植の下肢潰瘍に対して、交絡因子を整え比較研究を行った。これにより腎移植を進めるために貢献した。


Ⅲ 厚生省指定研究大浦班の足病領域における業績

【平成27(2015)年度】 1.「骨太の方針2015」 平成27年6月30日の閣議決定で足病学会と秋野議員の提案した足病が含まれた。 2.七学会理事長からの賛同を得た。 大浦理事長は7つの学会(日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本糖尿病学会、日本血管外科学会、日本透析医学会、日本足の外科学会、日本心血管インターベンション治療学会)の理事長の賛同を得て、7 学会と一緒に“足病重症化予防”を促進させるよう要望書を提出した。 3.国会において、秋野議員と大浦理事長は塩崎厚労相から言質を得た。 “今迄透析に至る腎症予防に偏っていたが糖尿病では目や足の合併症対策も重要であること、更に腎移植を含めた移植医療について、臓器提供施設への支援等、適正な移植医療の実施のための必要な施策を推進したい”と追加答弁も得た。
【平成28(2016)年度】 1.平成28年度診療報酬改定の際、下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設された。 これを提案した大浦研究班の効果は大である。 2.日本糖尿病学会と日本下肢救済・足病学会からコンセンサスについて得た。 合同パネルディスカッションを企画・開催について、コンセンサスを得た。 3.“足病の教科書“を出版し、足病の普及を図った。 これは一般人のための足病の本でわかりやすい対談形式である。 4.日本移植学会において学会のコンセンサスを得た。 これにより臓器横断的シンポジュウム 15 が企画されて足病重症化予防における腎移植の重要性が強調された。 5.大浦研究班の活動 (1)「医療従事者のための足病治療・ケア」の小冊子を出版し、保健所へ配布した。
(2)PT・OT と連携し、歩行見込みのある患者へ足病の治療前 or 治療中から介入し、サルコペニアを改善できることを検証した。

【平成29年度(2017)】 1.平成29年度大浦研究班の活動 (1)免荷(TCC)をしながら外来治療についての学会のコンセンサスを得た。
(2)早期リハビリ介入の連携の有用性が検証された。
2.生活習慣病流れ図 この中に法制化された足病を含ませることが出来た。
【平成30年度(2018)】 1.第38回日本静脈学会総会のコンセンサスを得た。(6月14 日) 静脈疾患の圧迫療法に絞って討論し、コンセンサスを得た。 2.第10回日本下肢救済と足病学会学術集会のコンセンサスを得た。(7月14日) 「合併症を含む足病重症化予防に資する診療評価を目指して」のシンポジウムを行い、入院せずに外来で足病の治療を行うコンセンサスを得た。